退職代行に倒産・事業停止の波!倒産したらどうなる?

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退職代行に倒産・事業停止の波!倒産したらどうなる?

「新時代のサービス」として取り上げられていた退職代行ですが、今、転機を迎えています。

最大手だった退職代行モームリ代表者の逮捕、退職代行会社の破産、事業停止が相次いでおり、これから使う人だけでなく、すでに申し込んだ人でも「依頼した業者が潰れたら退職はどうなるのか」と不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

そこでこのページでは、退職代行業界で実際に何が起きているのかを確認した上で、退職代行会社が倒産したときにどうなるかについて依頼の段階別に整理してみます。

退職代行業界の現状

退職代行業界の現状

時代の寵児として2025年頃から“雨後の筍”のように乱立した「退職代行」ですが、帝国データバンクの調査によると、2025年10月時点で実態のあった主要な退職代行事業者52社のうち、直近1年間で少なくとも14社がサービス停止の状態にあるとのことです。

サービス停止は倒産・事業停止に伴ったものですが、その理由としては、乱立した同業との競争激化や集客コストの負担増、モームリ事件の影響などで経営環境が厳しくなったなどが挙げられます。

倒産・事業停止になった主な退職代行

現在、倒産などで事業を停止が判明している代表的な退職代行事業者は以下の通りとなります。

退職代行は運営者によって、民間企業・労働組合・弁護士の3つが存在しますが、倒産・事業停止になった退職代行事業者は、弁護士法人みやびを除き、民間企業(偽装労働組合を含む)の運営となっていることがわかります。

退職代行名 運営種別(運営実態)
弁護士法人みやび 弁護士運営
退職代行トリケシ 偽装労働組合(民間企業運営)
退職代行リーガルジャパン 偽装労働組合(民間企業運営)
退職代行ニチロー 偽装労働組合(民間企業運営)
退職代行CLEAR 民間企業運営
退職代行のABAYO 民間企業運営
退職代行のミカタ 民間企業運営
退職代行スマートヤメマス 民間企業運営

弁護士法人みやび については、代表弁護士の佐藤秀樹氏および事務員1名が退職代行モームリの運営会社の社長らから違法に法律事務の紹介を受けたとして弁護士法違反で逮捕・起訴されています。

まだ廃業している訳ではありませんが、実態として運営は停止状態にあるものとして記載しています。

偽装労働組合とは?

表面上は「労働組合」を名乗っているが、入金先や実際の運営体制は株式会社など特定の民間企業が握っており、自主的な民主運営がなされていない労働組合のことを「偽装労働組合」と呼びます。

「偽装労働組合」かどうかはホームページの「運営会社」や「特定商取引法に基づく表記」ページや代金支払い先の銀行口座を確認することでわかります。

労働組合運営を名乗っていても、運営会社名や販売事業者名、口座名義が民間企業になっている場合は「偽装労働組合」となります。

こういった偽装労働組合の退職代行は民間企業の運営となる為、法的に会社との退職交渉を行うことはできないだけでなく、運営形態を偽っている点で悪質ですので利用はおすすめしません。

退職代行業界で淘汰が進んでいる理由

退職代行業界で淘汰が進んでいる理由

現在、退職代行業界では倒産や事業停止が静かに広がっている状況ですが、背景には、いくつかの要因が重なっています。

1. 参入のしやすさ

退職代行は退職の意思を会社に伝える「通知」だけなら民間企業や個人事業主でも可能で、電話さえあれば特別な設備も資格も要りません。

そのため、現在、小規模なものも含めると100社を超える退職代行が存在すると言われています。

2. 価格競争と費用増

すでに触れた通り、退職代行には「民間企業・労働組合・弁護士」の3つ種類がありますが、この内、民間企業と弁護士で全体の95%(民間企業60%・弁護士35%)を占めます。

民間企業の退職代行は参入しやすい一方で、サービス内容は「退職意思を伝えること」しかできない為、価格以外の違いを出しづらく、また、弁護士も安価な料金プランを作るなど価格競争が激化しており、退職代行の平均料金は1年前に比べて2千円ほど低下している状況です。

さらに、集客する為の広告費・人件費・外注費は上昇しており、数年前に比べて利益が出にくい状況といえます。

3. 運営会社の倒産

民間企業が運営する退職代行の場合、必ずしも退職代行の専業というわけではありません。

Web制作やデザイン、テレアポなどが本業の会社が参入しているケースも多く、昨今のAIの普及により本業が振るわず、連鎖的に倒産や事業停止に追い込まれる例も増えてきています。

そもそも一般的な企業の5年生存率は約82%ですので、民間企業が運営する退職代行の場合は一定度の倒産は出るとみるべきでしょう。

4. 環境の変化

退職代行は、以下の表のように運営者により大きく3種類(民間企業・労働組合・弁護士)に分かれます。

運営者 民間企業 労働組合 弁護士
法的根拠 なし 労働組合法 弁護士法
退職者の意思の伝達 ◯
できる
◯
できる
◯
できる
退職者の代わりに交渉 ×
できない
◯
できる
◯
できる
料金相場 1.5〜2.7万円 2.2〜3万円 5〜10万円

民間企業の退職代行業者でできるのは、退職の意思を伝えることまでで、退職日の設定や有給消化などの交渉は法律上認められていません。

退職代行モームリ(民間企業の運営)の代表者が逮捕された「モームリ事件」以降、企業側の対応にも変化があり、企業の約3割(30.4%)が、弁護士や労働組合以外の代行業者から連絡があっても取り合わないと回答している調査もあります。

民間企業の退職代行に限って言えば、退職代行の難易度が上がり、退職に失敗する確率も増えている状況で、倒産や事業停止の一因となっています。

【ポイント】
今後も退職代行の倒産は続く!

退職代行が倒産したらどうなる?

退職代行が倒産したらどうなる?

では次に、退職代行の運営会社が倒産したときにどうなるのかについて解説していきます。

依頼の段階と必要な対応

退職代行の場合、倒産や事業停止の影響は依頼の段階で異なってきます。それぞれの段階別に見ていきましょう。

1. 申し込む前、または入金前

退職代行の倒産が申し込む前、または入金前であれば影響はありません。別の事業者を選んで依頼しましょう。

弁護士や労働組合の退職代行に依頼することをおすすめしますが、民間企業の退職代行に依頼するのであれば、後払いに対応可能な業者を選ぶのが良いでしょう。

2. 入金後、会社への通知が終わっていない段階

最も注意が必要なのが、この段階です。

業者が突然連絡不能になり、会社への退職の意思伝達が行われた報告がまだ来ていない場合、あなたの退職の意思表示は会社に届いていません。この状態で出勤しなければ、無断欠勤として扱われトラブルになることも。

「申し込んだのだから業者の責任」と考えず、自分のこととして、まずは退職の確定に動いてください。

代行業者からの連絡が途絶えたら、自分で会社へ連絡する、あるいは弁護士や労働組合が運営する別の代行会社へ依頼して速やかに退職の意思を伝える必要があります。

3. 退職連絡は済んでいるが、退職手続き中の段階

代行業者が会社に退職の意思を伝えたあとで破産した場合でも、すでに伝わった退職の意思表示は無効にはなりません。

正社員などの無期雇用であれば、民法627条1項により意思表示から2週間で雇用契約は終了します。

ただし有期雇用の場合は事情が異なり、契約期間の途中でやめるには病気やケガなど勤務継続ができない「やむを得ない事由」が必要となりますので、追加で交渉が必要になることもあります。まずは、可能であれば代行業者に連絡を取り、現在の状況を確認してみてください。

次に、退職手続き中であれば、離職票・源泉徴収票・社会保険の書類の送付、貸与品の返却などの連絡が途切れることになります。自分の連絡先(郵送先)を会社にメールや書面で直接伝えるか、別の代行会社へ依頼して手続きを進めてもらうかのいずれかが必要です。

4. 退職手続きがすでに完了している段階

退職時の必要書類も手元に届いていて退職手続きが完了している場合は、特に影響はありません。

払った料金は戻ってくる?

退職代行が倒産した場合、払った料金は戻ってくる?

代行料金を支払い済みにもかかわらず退職連絡が未了、あるいは退職が確定していないという場合は、支払った料金が戻ってくる可能性があります。

しかし、期待しすぎは禁物です。

代行業者が破産すると、あなたはお金を返してもらう権利を持つ債権者の一人になりますが、破産手続では、破産管財人が選ばれ、債権者は決められた期間内に債権の届出をします。

ただし、会社に財産が残っていなければ、配当(払い戻し)はほとんど期待できません。「全額返金保証」と謳っていても、業者が破産した場合、実際の返金は難しいと考えておきましょう。

運営状況が危いときのサインは?

あくまで一般論ですが、次のような兆候がある場合は、運営状況を疑うきっかけになります。

  • 公式SNSやホームページで、新規受付の停止や営業時間の縮小が告知されている
  • 通常料金より割り引くキャンペーンを打っている
  • 問い合わせへの返信が極端に遅い
  • 代表者や運営会社が変わった
  • 報道などで運営会社が問題視されている(問題視されたことがある)

これらの兆候があれば必ず倒産するわけではありませんが、複数が重なる場合は、別の代行業者に依頼するのが良いでしょう。

まとめ

退職代行会社が倒産したらどうなる?

現在の起きている退職代行業界の「倒産の波」は、数字を見る限り、倒産や事業停止が連鎖しているというより、乱立した事業者の中から業者が徐々に淘汰されている状態と見るべきです。

特に民間企業の退職代行の経営環境は悪化してきていますので、依頼する際は注意が必要です。

退職は手続き終了まで通常1か月〜2か月掛かります。退職代行を利用する際、将来の代行会社の経営状態まで予測するのは難しいですが、最低限、退職代行の種類は把握するようにしましょう。

退職代行の種類の確認方法

  • ホームページの「運営会社」や「特定商取引法に基づく表記」ページを確認し、運営会社名や販売事業者名が弁護士・労働組合・民間企業のどれに該当するか?
  • 代金の振込先銀行口座を確認し、口座名義が弁護士・労働組合・民間企業のどれに該当するか?

最近は、運営実態は民間企業でありながら労働組合を名乗っている「偽装労働組合」の退職代行も増えていますので、ホームページに「労働組合運営」と書いていても鵜呑みにせず、「運営会社」や「特定商取引法に基づく表記」ページや振込先銀行口座を確認してください。

その上で、民間企業の退職代行を利用するのであれば、後払いに対応している業者を選ぶようにすると、破産や事業停止になった場合でも大きな影響を受けずに済みます。

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記事の監修者情報・著者情報

長谷部 亮

大手企業の人事総務部門に長年勤めた経験を持つ人事総務のスペシャリスト。退職後は労働問題専門のシンクタンク「広域ユニオン総研」の代表として活動。退職代行サービスに関する諸問題についても深い造詣を持つ。