労働組合の退職代行は違法?非弁行為になる場合とは【見解】

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労働組合の退職代行は違法?

本記事は合同会社じぶんサポートが作成しています。

退職代行を検討していると「労働組合の退職代行」を目にすることがあります。

その中には「労働組合と提携」「労働組合が運営」とうたっているところもあり、その違いや適法性について気になっている方もいらっしゃると思います。

そこで、そもそも労働組合の退職代行は違法なのか?とあわせて、非弁行為など違法となる場合などを含めて詳しく解説してみることにします。

労働組合の退職代行は合法?違法?

では早速、労働組合の退職代行の合法性(違法性)について見ていきたいと思います。

労働組合の退職代行は基本的に合法

退職代行には大きく以下の3つのタイプがあります。

  1. 民間企業の退職代行
  2. 弁護士の退職代行
  3. 労働組合の退職代行

現在、退職代行会社は全国で100社を超えたと言われていますが、すべてこの3つのタイプに分類でき、この内、今回触れる「労働組合の退職代行」は原則、労働組合法の団体交渉権により退職交渉が認められています。

労働組合の退職代行で違法になる場合は?

冒頭で「労働組合と提携」「労働組合が運営」とうたっている退職代行があることについて触れましたが、運営形態に関わらず無条件に合法(適法)と言えるのでしょうか?

実は「労働組合」と付いていれば OK というわけではなく、違法となる場合もあります。具体的にどんな場合が違法となるのかについて見ておきましょう。

1. 労働組合とは(定義)

労働組合の退職代行で違法となる場合について触れる前に、まずは「そもそも労働組合とは何か」について確認しておきましょう。

労働組合は「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持・改善や経済的地位の向上を目的として組織する団体」とされていて、使用者と団体交渉をする権利が憲法や労働組合法に基づいて保障されています。

なお、労働組合法上で定められる労働組合は以下の点を満たす必要があります。

  • 監督的地位にある従業員が加入していないこと
  • 会社から経済的援助を受けていないこと
  • 労働条件の維持・改善や経済的地位の向上を目的としていること
  • 政治活動や社会運動を主目的としていないこと

労働組合と認められるには、企業の関与がなく、自主性・独立性が必要というのが大きなポイントです。

労働組合の定義を押さえた上で「労働組合の退職代行」について考えていきます。

2. 労働組合の退職代行には二通りある

現在、労働組合の退職代行として確認されているのは次の二種類です。

  1. 労働組合が主体となって運営する退職代行(労働組合の運営
  2. 民間企業が運営し労働組合と提携する退職代行(労働組合と提携

一つ目の「労働組合が運営する退職代行」は、数は少ないものの以前より存在していました。

二つ目の「労働組合と提携するタイプの退職代行」は、業界最大手である退職代行モームリが民間企業が労働組合を支配する形で運営を行う形態を“発案”し、退職代行時に交渉が必要になっても提携先の労働組合が行うので非弁行為にはならないと主張していたように記憶しています。

労働組合の定義から考えても実態がなく問題の多い運営形態ですが、その後、民間企業が運営する大手退職代行が次々と退職代行モームリと同様の方式を採用し広まっていきました。

2. 東京弁護士会の判断

こういった実態のない労働組合を“隠れ蓑”に使って退職交渉を行おうとする退職代行業者に対し、2024年11月、東京弁護士会のホームページに注意喚起を促す「退職代行サービスと弁護士法違反」というページが新しく作られました。

関連する記載内容を抜粋したものが以下の内容です。

【事例2】
・本人の要望は、契約期間の途中で会社を辞めること、及び在職中に受けたパワハラの慰謝料を請求することであった。
・業者は、労働組合と提携しており、法律的な問題について話し合い(交渉)になったら、提携先の労働組合が行うとしていた。本人は、業者に代金を支払って、依頼した。
・業者は、本人に代わって、会社に対して伝えたところ、会社側は「パワハラなんかしていない。」と主張した。
・業者は、労働組合と交代し、労働組合が話し合いを行った結果、会社はパワハラを認め、慰謝料が支払われることになった。
 
【解説】
契約期間の途中での会社を辞めること(雇用契約の解約)や、パワハラを受けた場合の慰謝料などの損害賠償請求は、法律的な問題です。

本事例では、業者は、本人から代金を受け取って、法律的な問題について話し合い(交渉)になったら、提携先の労働組合が行うとしています。しかしながら、お金を受け取って、法律的な問題の処理を他者(本事例では労働組合)へ斡旋することは、非弁行為です。

引用:退職代行サービスと弁護士法違反

民間企業(業者)が退職代行を行い、法律的な問題になったら提携先の「労働組合」が交渉を行う場合、代金を受け取って提携先の「労働組合」へ斡旋することは「非弁行為」による弁護士法違反(違法)と明言したことになります。

要するに、業界最大手の退職代行モームリをはじめとする民間企業が労働組合を介在して退職交渉を正当化していた実態に東京弁護士会が NO を突きつけたことになります。

労働組合界隈からも実態のない運営形態として「偽装労働組合」にあたるとの声が出ていましたので、当然の判断と言えます。

【結論】偽装労働組合の退職代行は非弁行為に該当し違法になる

3. 非弁行為と非弁提携

退職代行における法律違反として注意が必要なものに「非弁行為」と「非弁提携」があります。

非弁行為とは?

非弁行為とは、法律で許されている場合を除き、弁護士資格を持たない者が、報酬を得る目的で、法律事務反復継続の意思をもって行うことを指します。

弁護士法72条には、次の通り非弁行為について定められています。

【弁護士法 第72条】(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)弁護士でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

【出典:e-Gov

正しく運営されている労働組合が団体交渉権を行使して退職交渉を含む退職代行を行うことは、労働組合法で定められている為、非弁行為にはなりませんが、労働組合でも弁護士でもない退職代行業者が退職交渉を行なった場合は、東京弁護士会の見解通り、非弁行為として違法となります。

非弁提携とは?

非弁提携とは、弁護士でない者が法律事務を行う「非弁行為」を行う者と弁護士が提携することで、弁護士が非弁護士から業務の紹介を受ける報酬を分配する、名義貸しをする行為などを指します。

弁護士法27条には、次の通り非弁提携について定められています。

【弁護士法 第27条】(非弁護士との提携の禁止)弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。

【出典:e-Gov

民間企業や労働組合が運営する退職代行で「弁護士と提携」「交渉が必要になった場合は提携先の弁護士を紹介」と記載されている場合がありますが、弁護士側は報酬の有無とは関係ない為、退職代行業者から紹介を受けた時点で非弁提携が成立します。

【参考:本当に怖い非弁提携(第二東京弁護士会)

4. 労働組合なのに運営者が民間会社の場合は要注意!

これまでのポイントを一旦まとめてみましょう。

労働組合の退職代行の適法性

労働組合の退職代行といっても、①労働組合が主体的に運営をしているもの ②民間企業が退職代行を行う為に労働組合を利用しているもの があり、①については労働組合法に基づき合法な退職代行と言えるが、②については会社と交渉を行なった瞬間に非弁行為として違法となる

ということになります。

退職代行には交渉が必要

民間企業が運営する退職代行の中には「通知のみで退職代行を行なっているので非弁行為ではなく、違法でもない」と主張しているところもあります。

しかし、退職代行は「労働契約の解除」を行うもので、基本的に弁護士法で定める「法律事務」にあたると考えられます。

退職代行を行う際によくある「即日退職・給与支給・有給消化・契約社員の期間内退職」などは明らかに交渉の範疇ですし、交渉なくして退職を成立させることはできません。

民間企業の退職代行では、労働組合や弁護士との提携によって退職交渉を正当化するというスキームは違法行為として使えません。それを考えると、少なくとも「退職率100%」を誇っている代行業者は、何らかの非弁行為があったということになります。

運営者が民間会社の主要退職代行業者

労働組合の退職代行をうたいながら実質的には民間会社が運営している、いわゆる「偽装労働組合」と思われる主な退職代行業者を挙げておきましょう。

退職代行名
(料金)
運営者 販売責任者 振込先口座
退職代行 モームリ
(22,000円)
株式会社アルバトロス 株式会社アルバトロス 株式会社アルバトロス
退職代行Jobs
(26,000円)
株式会社アレス 株式会社アレス 株式会社アレス
ユニオンジャパン
退職代行OITOMA
(24,000円)
株式会社H4 株式会社H4 株式会社H4
退職代行ネルサポ
(15,000円)
ネルサポート株式会社 ネルサポート株式会社 ネルサポート株式会社
退職代行SARABA
(24,000円)
株式会社スムリエ 株式会社スムリエ 株式会社スムリエ

この内、退職代行モームリは2025年5月までは「労働組合との提携」の退職代行でしたが、2025年6月より「労働組合との提携」という文言をホームページ上から削除していて、現在は単なる民間企業の退職代行として運営しているようです。

その他の4社についても、表にある通り、運営上は株式会社が支配している状況で民間企業の退職代行と見て良いでしょう。

企業側の取るべき対応は?

民間会社が運営する上記のような退職代行業者は、依頼者が要望を会社へ伝言することしかできず、交渉を行うことはできません。

労働組合運営や弁護士の退職代行ではない = 本人の代わりになって交渉できない」ので、業者による退職の申し出を断ることもできます。

あなたが会社の人事担当者だったとして、ある日突然、退職代行の電話が職場に掛かってきても慌てず対応しましょう。

適法に運営されている退職代行は労働組合名や弁護士名を名乗ります。「退職代行〇〇」退職代行の連絡があった場合はまず一旦折り返しにしてください。

ホームページの「運営者情報」や「特定商取引法に基づく表記」のページを確認した上で、株式会社や合同会社だった場合は、彼らの話は聞かず、

  • 退職交渉はしないこと
  • 本人の意思を確認した上で退職手続きを進めること

ことを代行業者へ伝えて、あとは退職希望者本人へ連絡をとり、意思確認の上、退職手続きを進めるようにしましょう。

退職代行業者の中には退職代行モームリのようにデータを公開しているところもありますので、人材難のこの時代に退職代行を使われた企業として名前を残すことは避けるべきです。

まとめ

労働組合の退職代行は基本的に「合法」ですが、運営形態によっては非弁行為と非弁提携として弁護士法違反に問われる可能性があります。

ポイントになるのは「労働組合の自主性」。

労働組合が退職代行を行なっているのではなく、退職代行業者が便宜上労働組合を装っている(偽装労働組合)場合は、非弁提携により弁護士法違反に問われてきます。

また、偽装労働組合の退職代行業者は単なる「民間企業が運営する退職代行」ですので、法律上は会社と退職交渉を行うことができず、伝書鳩のように退職について会社へ伝言することしかできません。

2024年11月に東京弁護士会が出した「退職代行サービスと弁護士法違反」の注意喚起を受け、最大手の退職代行モームリは労働組合に関する表記を既にすべて消していますが、いまだ大手退職代行業者の多くが偽装労働組合と思われる運営体制を維持しています。

退職代行の代金の振込先が株式会社などの民間企業名だったり、ホームページの「運営者情報」や「特定商取引法に基づく表記」に民間企業名が記載されている場合は「偽装労働組合」とみなして良いので、退職代行を申し込む際は「労働組合運営」や「労働組合提携」に惑わされず、しっかりと確認した上で依頼しましょう。

労働組合運営の退職代行は?

最後に民間企業の関与がなく、労働組合が主体となって運営している主な退職代行をピックアップしておきます(料金は通常期を記載)。

退職代行名
(料金)
採点・評価 運営者 販売責任者 振込先口座
退職代行 退職サポート
(22,000円)
44点/50点中
合同労働組合
私のユニオン
合同労働組合
私のユニオン
合同労働組合
私のユニオン
退職代行ガーディアン
(24,800円)
34点/50点中
東京労働経済組合 東京労働経済組合 東京労働経済組合

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